2015年1月14日水曜日

東京カルテット演奏会 

サントリーホール        1993.2.4

演題:

東京カルテット
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第1番OP18-1

弦楽四重奏曲第11番OP95「セリオーソ」

弦楽四重奏曲第9番OP59-3「ラズモフスキー第3番」

出演:
第1ヴィオリン:ピーター・ウンジャン

第2ヴィオリン:池田菊衛

ヴィオラ:磯村和英

チェロ:原田禎夫

東京カルテットはすでに20数年の年輪を経た。ジュリアードと桐朋学園の影響下に研鑽を積んだ。
又、2代目となる第1ヴィオリンにウンジャンを迎えた。人も知るパールマンに師事した人だ。
東京カルテットの奏じるベートーヴェン後期の演奏は定評があり、どれも、力強くてしなやかな弦が
豊かな人間味と男の美を表現する。初めて聞いた時その素晴らしい音に驚いたことを覚えている。

「セリオーソ」とは、厳粛にの意味であり、ベートーヴェンの指示による。
力強い反面、幻想的な曲である。

「ラズモフスキー3番」は、一番華麗な曲だ。最終のフーガの奔流がいい。


ハンガリア弦楽四重奏団演奏会

東京文化会館1969.10.31

ハンガリア弦楽四重奏団
出演:

第1ヴィオリン:ゾルタン・セイケイ

第2ヴィオリン:ミヒャエル・カットナー

ビオラ:デ―ネシュ・コロムサイ

チェロ:ガブリエル・マジャール

演目:

ハイドン:弦楽四重奏曲ニ長調OP.64-5「ひばり」

モーツァルト:弦楽四重奏曲ハ長調K.465「不協和音」

シューベルト:弦楽四重奏曲ニ短調「死と乙女」


ハンガリア弦楽四重奏団は「弦の国」ハンガリア人4名で構成されバルトークの演奏で有名である。

ハイドンは、弦楽四重奏の父と呼ばれ83曲も作品を生んだ。「ひばり」は58歳のもっとも円熟した時期に書かれた代表的傑作である。第1楽章の第1ヴィオリンが高音で唄う第1主題がのどかなひばりの鳴き声を連想させることから名ずけられたものである。
モーツァルトの「不協和音」は、第1楽章のアダージョに不協和音が響くので名ずけられた。名作だ。

死と乙女」は主題が旋律的で、美しく、そして哀しい。

2015年1月13日火曜日

上石りえ子リサイタル

ヤマハホール  1986.11.28


演題:
恋は売り物

デューク・エリントン・メドレー 
上石りえ子

ソリチュード

唄を忘れよう

A列車で行こう

リンゴ追分

星に願いを

4ッのお願い

ダニーボーイ

上石りえ子は、東京女子大を卆業後、ロスアンジェルスの大手企業に勤務していたが、ジャズ好きがこうじて退職し、ジャズの勉強をしプロになった変わり種である。
帰国し鈴木章治とリズムエースの専属ヴォーカリストとなり、かたわら銀座のジャズクラブで唄い、ファンが多くなり店長格で経営に参加した。志摩夕起夫・野口久光・いそのてるおなど、ジャズ愛好者が多くなり,また演奏家たちも鈴木章治をはじめ多く参加した。

私も、彼女ファンの友人に誘われて、通ったものだ。友人は、リエちゃんが好きで誕生日に赤いバラを100本?もってゆき、りえちゃんを驚かせた.雨中花屋を共に渡り歩きさがし集めた。私は、ジミーさん(ミッキー・カーチスの父、雪村いずみの義父)と仲がよかった。彼はとても気性がよいドイツ人でドラマ―であった。演奏後は、私の席に来て飲んでいた。気があって冗談を言い合った。

りえちゃんは、日本人では数少ない正確な英語の発音、りえ子節ともいえる短いフレイジグ、そして曲の情感を大事に唄う。
リズム感は日本人離れをしていて、江利チエミなど足元にも及ばぬだろう。あれ・・クラシックの旅だったっけ!

愛聴盤:上石りえ子  ライブ・アット・ギンザヤマハホール(LP)
              宇宙人応答せよ

グルダによるモーツアルトの夕べ

ウィーン・コンチェルトハウス               1995.11.3

会場に到着17:30  開始19時30分と分かり席で待つ。更にグルダに事故あり21時開始となる。誰一人文句を言う人がいない。雑談して待つている。日本なら一騒動だ。

演題:
第一部 モーツアルト・リサイタル

第二部パラダイス・トリオとジャズ(チック・コリア)

第三部 ディスコ・パーティ

第三部 ディスコ・パーティ


トレーナにジャージのズボン、白のスニーカーで動き回る65歳にグルダは、明朝3時半まで弾いたという。私達は,二部の途中で帰った。グルダは奇才だ。彼のピアノは、歯切れよく、そして軽快ながら全体像がはっきり浮かびあがる。彼は又クラシック的ジャズを好み、第2部はその演奏だ。
彼の作曲したアリアを弾いたが、透明ないい曲だった。このアリアは、CDでも聴ける。グルダ・ノン・ストップというCDである。

又、彼の弾いたモーツアルトピアノソナタ全集は楽しみのモーツアルトが聞ける。


愛聴盤:グルダ・ノン・ストップ(1990)4のアリア





エルマン・バイオリン演奏会

芝・日活スポーツセンター

1955.10.20

演題:不明

3度目の来日である

エルマンは1891年キエフ生まれで、巨匠といわれたオイストラッフに対抗した。
粘っこく、重厚でヴィオラやチェロの響きを髣髴させる音色で、エルマン・トーンとして、人気があった。
エルマン・トーンの命名は、野村あらえびす(野村胡堂)らしい。

それにしても、会場は不思議な所だ。記憶にない。私の大学時代だ。場所はいま何だろう?


ジャン・ぺアース演奏会

 
 (メトロポリタン・テナー) 
  コマ劇場 

195?年4.26

内容不詳

新宿コマ劇場でクラシックとは!1950年代であろう。なつかし学生時代だ。
ぺアースはトスカニーニと親しく、NBCSO.でも共演している。凡庸だったとの評もある。
私の記憶はなく、入場券のみが手元に保管されていた。

パールマン・ヴィオリン演奏会を回想する

藤沢市民会館  
   1987.10.15

演目:
バッハ:無伴奏バイオリンソナタ1番

フランク:バイオリンソナタイ長調

ベートーベン:バイオリンソナタ1番

パールマンは1945年イスラエルに生まれた。
4歳の時小児麻痺になり下半身が不自由。
ジュリアード音楽院で学び、アイザック・スターンから、高い評価を受け、17歳でカーネギーホールでデビューした。
パールマン


カーネギーホールの1965.4演奏 ニューヨーク・タイムズ紙の批評より

「真に評判どうりのヴィオリニストだ。音は豊かで暖かく、音楽に合わせて脈打ち、また鎮まる。オクターブの奏法は実に見事だったが、それにも増して最後の楽章のハーモニックスのみじかい部分を、パールマンがヒューと通過した時は凄かった。彼の演奏を聴くときは―技術的、音楽的、そして取り分け人間的な―あらゆるレヴェルで喜びを生みだす。何故ならこの逞しい若者は特別な資質を、つまり心を持っているからである。」

愛聴盤:パールマンの演奏
 
              
バッハ:無伴奏ヴァイオリンの為のソナタとパルティター

      
 
モーツァルトソナタK.296,K.305、K.306

 ベートーヴェンソナタ9番、5番 春(アシュケナージ)



ハンス・ホッタ―・リサイタル

   産経ホール 1969.
ホッタ―
演題:シューベルト冬の旅

ピアノ:ドコウビル

ホッタ―は、有名なワグナー歌手だが、冬の旅でもその無骨な人格をむき出しにした名盤を4回も録音した。若々しく老成の年を感じさせない。

ディスカウは名職人的な上手さがあり、ホッタ―には人間的な潤いがある。
冬に旅の録音は多いが、個々人の味がでて違いを比較するのは面白い。


愛聴盤:ハンス・ホッタ―sony427・1969
クルト・モル1982
オラフ・ベアー1900
F.ディスカウ ムアー(ピアノ)(LP)
F.ディスカウバレンボイム(ピアノ) 1979(LP)
F.ディスカウ ブレンデル(ピアノ) 1985(LP)
ヒッシュ (LP)







































































アラウ・ピアノ演奏会

林光氏の評
 神奈川県民ホール  1987.5.8

演目

べト―ヴェン;告別ソナタ7番OP10-3  

リストエステの噴水

    ぺトラルカのソネット

    ダンテを読んで


魅力あふれる演目だ。特にリストは抜群だ。

アラウはチリ―の生まれで、11歳にベルリンでデビューした。一時貧困を極めたが、夫人の内助の功もあり、ナチスから逃れ、ニューヨークに移住し活躍の幅を広げた。中期以後のベートーヴェンは、詩情あれ、味わい深い。

 この日の[告別]も老成したベートーヴェンを演じた。

林光氏も高く評価し「作曲者の音による思考を把握し、それをピアノにより追体験している音楽家が、みごとに存在した。」と書いている。
人間味のある温かい音楽を、もっと聴きたかった。
私は、アラウの「ベートーヴェン・ソナタ全集」を
所蔵し聴いているが、名演だと思う。

愛聴盤:
告別
バックハウス;1959年(LP)グルダ、ゲルバー、ポリーニ
リスト;
ボレット、ブレンデル、ホロヴィツ

シュトゥットガルト室内管弦樂団演奏会

神奈川県民ホール1976.6.18

ミュンシュンガ―夫妻とシャガール(右)
指揮:カール・ミュンシュンガ―

ヴァイオリン:ゲオルク・バイノフ

演題
バッヘルベル/カノン

R.シュトラウス/6重奏曲「カプリッチョ」作品85より

グルック/オペラ「パリスとヘレネ」より

ヴィヴァルディ/{四季」作品8


ミュンヒンガ―は、バロック音楽が交響樂的すぎると批判し、従来からの演奏法から脱出を求めた。15人の楽団員が奏でるバロックは独自の音色を保つことに成功し音の響きの美しさを持った奏法に見事にまとめ上げられている。
バッハとモーツァルトを柱として聴く者に感動を与える。

内田光子ピアノリサイタル

1993.10.05 サントリーホール

演題:

ハイドン:ピアノソナタ第37番ニ長調

シューベルト:ピアノソナタ第15番ハ長調「レリーク」D.840


シューマン:クライスレリアーナOP.16

前回のモーツァルト演奏からの2年ぶりの来日である。この2年間はヨーロッパ各地やアメリカカーネギーホールで聴衆を魅了しつずけた。今回は2あく度だけの公演で、しかもモーツァルトを弾かない。
しかし、ハイドンからシューベルト、さらにシューマンの流れは内田光子の取り組みの潮流に乗っている。

当夜も豊かな知性に支えられた内田の音楽を聴かせた。
内田の音楽は緊張感に満ちている。しかもその緊張は、聴く者をこばらせ、委縮させるものではなく、むしろのびのびと自由なしなやかさをもっているのだ。


ハイドンはピアノソナタを50数曲も書いた。モーツァルトはハイドンを崇拝し、ハイドンに捧げし弦楽四重奏曲の名作を残した。第37番にもハイドンの円熟した作曲技法が見られ、第2樂章は美しい。

シューベルトのレリークの意味は遺作という意味で死後発見され、美しい抒情をたたえ2楽章で未完だがシューベルトらしい名作として愛されている。

クライスレリアーナは後に妻となるクララへの想いを作曲したと語っていて、全体が8つの小品からなり、激しい情熱と瞑想的な世界が交互に現れる。演奏数が多い曲だ。

ウィーン・リング・アンサンブル演奏会

茅ヶ崎市民文化会館      1994.1.14

ウィーン.アンサンブル
演目
J.シュトラウス2世  「こうもり」序曲

ツィ―ラ―  ワルツ「心地よい夜に」

J.シュトラウス2世  アンネン・ポルカ

皇帝円舞曲

ツィラ―   ポルカ「生粋のウィーン子」

J.シュトラウス2世 ワルツ (春の声」

  
J.シュトラウス1世  ケッテンブリュッケ・ワルツほか

茅ヶ崎では,恒例化しているウィーンのワルツが今年も行われた。アンサンブルの構成は、ヴィオリン2名、ヴィオラ1名、チェロ1名、コントラバス1名、フルート1名、クラリネット2名、ホルン1名、全体で9名である。ウィーンフィルの首席奏者やソリストが多く、レヴェルは高い。ワルツやポルカなしで都市ウィーンの文化は成り立たないだろう。街にも、ホテルでも、BGMはウィーンワルツだ。

ウィーン八重奏団演奏会

神奈川県立音楽堂     1991.5.11

作曲家:W..A.モーツァルト

演題

八重奏団
セレナードト長調K.525[アイネ・クライネ・ナハトムジーク」

ファゴットとチェロのためのソナタK。292

クラリネット五重奏曲K.516C

デヴェルティメント変ロ長調K.287


「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」は、モーツァルトらしい明快で優美な美しさに満ち溢れている珠玉の傑作である。とくに第三楽章がいい。
ファゴットとチェロという二つの低音楽器のためのユニークなソナタは、華やかな表現が光る。
クラリネット五重奏は、K622とともに、愛されている曲である。私は数あるレコードのうち(ウラッハ)のクラリネットが最も好きだ。
デヴェルティメントK.287は、スケールの大きい曲となっている。デヴェルティメントは王候貴族の食事等の際使われる実用音楽で、モーツァルトにも作品が多い。

ボリス・べレゾフスキー・ピアノリサイタル

藤沢市民会館      2002.2.2
べレゾフスキー

演題
シューマン/ソナタ第1番ヘ短調

シューマン/トッカータハ長調

ショパン/スケルツオ第1番ロ短調

ショパン/スケルツオ第2番変ロ短調

リスト/巡礼の年第2年(ヴェネツアとナポリ)

リスト/メフイスト・ワルツ第1番

1990年チャイコフスキーコンクールで優勝、CDも多く、諏訪内昌子との共演CDスラヴォニックがある。

ソナタ1番は、後に妻となるクララ・シューマンへの心の叫びといわれる。

トッカータは、ポエージに富んだいい曲で心地よい。

スケルツオとは、イタリア語で(冗談)の意味でベートーヴェンがメヌエットを転化して以来使われてきたが、ショパンはこれを独立させ、自分の絶望や憂鬱を告白した深刻な音楽へと更に転化させた。

1番は1831年に作曲されたがワルシャワ蜂起の暗い影がショパンの民族的感情を刺激したらしい。第2番はショパンの最も有名な曲の一つで曲の冒頭は聴く者に強いインパクトを与える。

リストは(ピアノは私自身、私の言葉、私の命)と断言し、「巡礼の年」はジュネーブに居を構えヨーロッパを演奏中の(旅のアルバム)で、第1年はスイス、第2年3年はイタリアであった。

メフイストは、ファーストの戯曲によるリストの名技法に酔う曲である。

シビリアン・カッアリス演奏会

 藤沢市民会館  1987.04.16

カッアリス
演題
シューマン  子供の情景

リスト     孤独の中における神の祝福

シューベルト 即興曲 D946-1~2

ベートーヴェン 3番{英雄}変ホ長調OP.55

 
シュウマンは夢見る様に情感が揺れる。カッアリスは、子供の情景は前年に録音、英雄は85年に録音し、手慣れた曲目だ。音の美しさ、分節化と、詩情豊かに謳い上げ、濃厚なロマンティシズムをかんじさせるシューベルト出会った。

彼は又ベートーヴェンの交響曲をピアノ曲に編曲したものを意欲的に弾いている。すでに、3番5番6番7番9番を録音した。魅力的なピアニストだ

内田光子/イギリス室内放送管弦楽団演奏会

 

     サントリーホール 1987.02.25

CD盤
指揮者:ジェフリー・テイト 

演奏:イギリス室内放送管弦樂団

1987.02.25

モーツアルト  ピアノ協奏曲13番、23番

          交響曲第36番

1987.03.04

モーツアルト  ピアノ協奏曲第14,26番

          交響曲第40番

1987.03.06

モーツアルト  ピアノ協奏曲第5,27番

          交響曲第41番(ジュピター)


内田とテイトの共演は、1987年から1999年にピアノ協奏曲全集を完成させた。
内田は1982年毎週火曜日にモーツアルト・ソナタ連続演奏会をひらき、絶賛をあびた。
「ウチダの火曜日」は有名である。
内田の知的な、そして情緒的な、妥協を許さぬ演奏は、聴く者の身が引き締まるところだ。

内田の全録音はいつ聴いても心豊かになるのですべて愛聴している。中でも好きなのは私がたまたま聴いた日のライブ録音;モーツアルトー1991.5.15,17(サントリー・ホール)
です。

ポリーニ講演会 

   サントリー・小ホール   2002..11.13 と    2002.11.18

ポリーニ
ウリツィオ・ポリーニついては、ショパンのエチュード・プレリュードと後期シューベルト・ピアノソナタ集のCDを聴き、大理石の彫刻のごとき彫りの深さに驚き、研ぎ澄まされた音の響きに畏敬の念を感じていた。

そのポリーニが音楽についてピアノ演奏なしの講演をすると聞き2回受講した。イタリア語で話し、通訳がアナウンスした。
かなり難解な、感覚的な話で良く分らなかった。講演では、大学の教師のような風貌で訥々と話した。

序に吉田秀和氏のポリーニ評が的確だと思うので、紹介する(吉田秀和著・世界のピアニスト)

{ポリーニの演奏には、燃えるような強烈なダイナリズムと非常な速さで走ってゆくアレグロの音楽の中に、きれいに歌がきこえるという魅力があるのだが、その反面、奇妙な冷たい感触をもったピアニシモの世界があり、それを現代風の演奏とよぶのも多分的外れではないだろう。それはいわゆるロマンティックな気質とは違い、むしろ感覚的でしかも理知的な肌合いが強いのだ・・・}

私は1989年、1993年と2度聴いた。、まったく同感である。

愛聴盤:ポリーニの名盤;ショパン プレリュード・エチュード(OP25,10)
シュウベルト さすらい人幻想曲
ショパン ポロネーズ集
シェーンベルグ OP19,11,23,25,33








                    
                   

サントリーホール・オープン記念演奏会



 サントリーホール1986.11.11

イギリス放送室内管弦楽団 


指揮テイト

ピアノ 内田光子


モーツアルト:

 ピアノ協奏曲第六,第八、第九番

ピアノソナタ9番

モーツアルト初期の協奏曲を3曲で記念演奏を終えた。
会場の音響も調整したそうで、見事な夜となった。

ソナタ9番のジェノムは、冒頭の奇抜な旋律が私は大好きな曲で内田の軽快な弾き語りのリズムがしばらくの間,頭から消えず心に残った。

内田光子・ピアノリサイタル

 1991.5.10 サントリーホール

演題:W.A.モーツァルト

ソナタ第10番ハ長調K.330

ソナタ第8番イ短調K.310

ソナタ第12番ヘ長調k.332

幻想曲ニ短調K.397

ソナタ第17番ニ長調K.576

モーツァルト没後200年モーツァルトイヤーの本年、オール・モーツァルト・プログラムで、内田は東京で3回、大阪で2回の日本公演をした。私は東京で2晩、耳と心を傾けた。既にCDですべての曲を聴いているが、実演のもつ魅力にはかなわない。

ソナタ第10番は静謐に曲が流れる。内田の作品分析の緻密さが説得力となり心地よい。

ソナタ第8番は短調であるが1778年頃作られた。強い不協和音と不安な疾走にかられる。母の死、孤独、滞在中のパリの不理解が背景にある。

ソナタ第12番はメロディの種類が多く旋風のような流れとテーマの宝庫だ。そして消えゆく終末との対比に心が傾く。

幻想曲ニ短調はハ短調と共に我が愛聴曲だ。独特の力にあふれ、抵抗し難く美しく優しいアレグロに
涙する。

ソナタ第17番ハ内田光子が最も得意とする曲である。優しさとはほど遠い。ヘンデルのオラトリオ的対位法によると言う。

モスクワ・ソロイスツ合奏団演奏会

バシュメット
  サントリーホール1989.5.18

指揮/独奏

ユーリ・バシュメット

演目:

グリーグ  ホルベルグ組曲OP.40

シュニトケ  室内オーケストラのためのトリオ・ソナタ

ヒンデミット  ヴィオラと弦楽のための葬送音楽

チャイコフスキー  弦楽セレナードハ長調OP.23

バシュメットは、世界一のヴィオラ奏者である。今回4度目の来日は、自らが1986年結成したモスクワ合奏団を率いてである。

グリーグの組曲は、第4曲アリアが短調で書かれ、北欧的な静かで物悲しい情緒に溢れた曲である。

シュニトケは,前衛的傾向を代表する人で、意欲的な創造活動をすすめている。この作品はアルバンベルグ財団の依頼で作られ、哀歌調のソナタである。

ヒンデミットは、即物主義を作曲面でとりいれた作曲家である。この曲はジョージ5世の追悼のため、依頼により作られた。第1楽章は「静かに」、第2楽章は「生き生きと」第3楽章は「非常に遅く」第4楽章は「汝の王座より我共に歩む)と記されている。

チャイコフスキーのセレナードは、古典美の音楽の美しさが、純粋な形で音に結晶していて、あらゆる階層から支持されて今日に至っている。

ウィーン祝祭交響楽団を回想する

 1961.10.22 ウィーンコンチェルトハウス

指揮者:ジョウジ・ESCU

演奏者:ウィーン祝祭O.

演題:
ESCU 交響曲第九番

メンデルスゾーン バイオリン協奏曲OP64

ブラームス 交響曲第3番 ハ長調OP68

当日コンチェルトハウスに行き窓口で最後方の立見席で聴いた。プロぐラムを4シリングで買った。立見席は1階の舞台に向かって正面であるが、入口扉の前で音響が
最も良くない場所であるが、貧しい学生や人のために安い料金で音楽が聴ける。私は当日窓口に行ったので、学生と間違えたのかもしれない。

立ち見で背丈の低い私は、舞台が見えず苦労したが疲れは無かった。人生で一度の経験となった。若き日の想い出である。

余談だが、かってゲーテ館で子供は無料だといい、入場料を取ろうとしない。私が社会人だと言ったがつうじなくて、<お前は子供だから>といい、受け取らなかった。係りはかなりの高齢者だった。


愛聴盤:メンデルスゾーンOP.64コンドラシン指揮 モスクワO. オイストラッフ 

     ブラームス 第3交響曲ベーム指揮ベルリンPO.LP 、カラヤン指揮ウィーンPO.
               メンゲルベルグ指揮アムステルダム・コンチェルトへボー LP

内田光子の世界



彼女の醸し出す雰囲気は、特有のものだ。

まず性を超越している。いい女,天女、音楽演奏家、童女、どんな呼称も適応する。些時にはこだわらない性格だろうと思う。

演奏の日、エレヴェータ前で出くわした事がある。
「聴きに来ました」 と頓馬な事を言ったら、表現を変えず「アーソー」と軽く頷かれた。

「せめてデビュ以来のファンです」と言いたかったナ




ジ―クフリード・フォゲル・リサイタル

茅ヶ崎市民会館

シューベルト  冬の旅 1989.2.25

フォゲル
ピアノ:ルドルフ・ドゥンケル

フォーゲルは、ワグナー歌手として圧倒的な演技と、響きをもって国際的な名声を得ている。日本にも数度来ている。

 1.遠く離れた人に
 2.憩いなき恋
 3.羊飼いの嘆きの旅
 4.恋人の近くに
 5.ひめごと
 6.悲しみの喜び
 7.最初の喪失
 8.逢瀬と別れ

堂々とした体躯で唄う。冬の旅は歌手によって随分違いが出てくるように思う。ディスカウに、慣れた耳には夫々の違いが分るが、いずれも、情緒的で、繊細だ。

冬の旅は、何人にも知られ、菩提樹などは子供でも
知り、そして唄う。人生の哀楽、失恋をこれほど唄い上げたシューベルトは、晩年のピアノソナタと共に、すべての人の心の中で生きつずけている。

愛聴盤:冬の旅

ディスカウ、(ピアノ・ムアー)
ディスカウ、(ピアノ・ブレンデル)
ハンス・ホッタ―
ヒッシュ
オラフ・ベア―

2015年1月12日月曜日

[八ケ岳高原で聴くピアノトリオの夕べ]を回想する

 1989.7.8    八ケ岳高原音楽堂


演奏者:ダン・タイ・ソン、ヨゼフ・スーク、堤剛

演題
シューベルト/三重奏曲「ノットゥルノ」D.897

ドヴォルザーク/ピアノ三重奏曲第4番作品90
「ドゥムキ」

ベートーヴェン/ピアノ三重奏曲第7番OP。97「大公」

初夏の星の輝く夜空の一夜を八ケ岳高原ロッジで過ごした。付属の音楽堂は木造六角回つきの音楽専用ホールで250人限定、残響と音質を追及し、毎日芸術賞を受賞した建造物だ。大自然を背景に高度の(名人3人の)音楽を澄み切った星の下の空気のなかで聴くとは!ふと尊敬する武満徹氏の「鳥は星の庭におりる」という作品を想った。武満さんは、この八ケ岳に住み、作曲しているのだ。

また「ドゥムキ」と「ノットゥルノ」は、DENONのLPでヨゼフ・スーク・トリオ演奏で愛聴していたので、夢心地で聴き惚れた。3曲ともに大好きだ。幸せ一杯の音楽会であったので生涯わすれることは無いだろう。

「ケルン放送管弦樂団・ベルティーニ指揮」を回想する

サントリーホール1990.11.21


作曲家:マーラー

交響曲第4番ト長調

交響曲第1番ニ長調「巨人」

第4番の最終章では、マーラーの愛した民衆詩集「子供の不思議な角笛」が挿入され、天国の喜びを唄って終わる。

「巨人」は、ジャン・パウルの大河小説「巨人」から名ずけられた。第一楽章はカッコウの鳴き声が聞こえる静かな序奏が彩りを添える。第2,3楽章でいくつかのメロディがきこえてくる。親しみの沸く曲だ。フィナーレは嵐のようにという激しい楽章で終わる。9番とともに良く演奏され、多くの指揮者が録音盤をリリースしている。

私も大好きな曲だ。第4番はBruno Walter指揮のウィーンフィル、第1番「巨人」は小澤征爾のボストン交響楽団1987版、Walter指揮のニューヨーク1954年版、Bernsteins指揮のアムステルダム・コンチェルトヘボー等が好きだ。

ミラノ・スカラ座管弦楽団演奏会を回想する


ロリン・マゼール指揮:                 東京文化会館1988.9.29

ロリン・マゼール
演題
ロッシーニ 「セビリアの理髪師」序曲

プッチーニ 「マノン・レスコ」

ヴェルディ 「シチリア島の夕べの祈り」より、<四季>

レスピーギ 交響詩「ローマの噴水」

レスピーギ 交響詩「ローマの松」

「セビリアの理髪師」序曲の第2主題は、オーボエとクラリネットで奏され、このメロディの美しさは有名だ。

「マノン・レスコ」は、プレヴォーの小説が原作、以前私は読んでみた。アメリカに追放されるマノンを騎士デ・グリュ―が追いかける。二人の悲しい運命とつかの間の幸せへの回想を、音楽が甘美に奏でる。

「シチリア島ー」は、実在した事件を脚色したオペラだ。冬、春、夏、秋と、ハープ、クラリネット、フルート、オーボエが夫々の季節を演ずる。

「ローマの噴水」は噴水をみるレスピーギの色彩感と、ファンタジーの豊かさを味わせてくれる。4つの噴水のノスタルジーは詩情にあふれている。「ローマの松」も有名な4つの松の描写である。標題音楽の代表となっている。


内田光子ピアノ・リサイタル

 1991.5.17 サントリーホール

演題:W.A.モーツァルト

ソナタ第15番ハ長調K.545

幻想曲ハ短調K.475

ソナタ第14番ハ短調K.457

グルックの「メッカの巡礼」のアリエッタK.455

ソナタヘ長調K.533+494

ソナタ第15番の第2楽章アンダンテは、モーツアルトのピアノ曲中最高峰と言われるが、冒頭の苦悩と激しさが再現部とともに尊い静けさへと導かれてゆく。第2楽章では左手で浮かび上がってくる絶妙な隠された旋律が、豊かな詩情をかもしださせている。

幻想曲ハ短調は即興的に変化する樂想が織り出されていてニ短調とともに独特の力を感じさせる。

グルックのメッカの巡礼はオペラの原曲の変奏曲であり単純な主題から最大の興味を持たせた。


プラジャーク弦楽四重奏団演奏会を回想する

  日経ホール     1989.03.14



プラジャーク弦楽四重奏団

モーツアルト
 弦楽四重奏曲17番 狩り K458

   クラリネット五重奏曲K581

(クラリネット:村井祐児)

好きな17番を聴くため出かけた。この曲はいわゆるハイドン・セットの始めの曲で狩の美しい角、笛を思わせる喜びのカルテットの狩、すすり泣きの合奏と小鳥たちの合奏の中間にあって、内的なモーツアルトの完成美をしめす。名曲だ。

ここで「アンリ・ゲオンの言」を借りよう。

 「旋律はその連続する美と豊かさによって、技巧と感情を高みから支配できるので、もはやメロディしか現れない。それぞれ自由で個性的な四ッのパートの調和は自然そのもののようにみえる。もしこの世に計算された旋律が存在するとすれば、まさにこのアレグロの歌である。泉の嘆き、そしてすぐに、小夜鳴き鳥のコロラトゥーラがつずく。天才の秘儀である。」

尚、プラジャークはプラハ生まれの四重奏団で、音の彫が深い。


愛聴盤:
室内樂はアナログに限る。モーツアルトの四,五重奏曲は、LPで発売されているものはすべて聴き愛聴している。スメタナ・アマデウス・ウィーンコンチェルトハウス・ブタベスト・メロス・ベルリンフィル室内・ザルツブルグ室内・アルバンベルグ・等々である。

[ラドウ・ルプー・ピアノリサイタル]を回想する

東京芸術劇場 1991.11.06

演題:

ルプー
ブラームス/主題と変奏(1860)

ブラームス/ピアノ・ソナタ第2番作品2

シューマン/クライスレリアーナ作品16

主題と変奏は、ブラームス作品のなかでも最もロマンティクな音楽の一つ、若き日の傑作の一つである。その背景には恋人アガ―テとの恋愛の破局、クララ・シューマンとの恋があった。

ピアノ・ソナタ2番は、夢みるブラームスを、若々しく情緒的に表現した傑作である

シューマンのクライスレリアーナは、ホフマンの小説の主人公からとった。今では、ピアノ曲のポピュラーとなっている。

ルプーのピアノは、思索的で深みのある表現のピアニストとしての地位を確立している。決して華やかなピアニストではない。単なるピアニストではなく彼は音楽家なのだ。

ロバート・マン スペシャルコンサート < 90歳を祝って>

長野県松本文化会館  2009.8.29

指揮:ジョエル・スミルノフ

    ロバート・マン(OP132のみ)

管弦楽:サイトウ・キネン・オーケストラ および小沢征爾音楽塾オーケストラ

演題:スメタナ 弦楽四重奏曲第一番「わが生涯より」

    ベートーヴェン弦楽四重奏曲一五番OP132.

    モーツアルト 交響曲四一番ジュピターK.551


ロバート・マンは、ジュリアード弦楽四重奏団の第一ヴァイオリン奏者で、小沢征爾に賛同し、小沢を後援した。常に小沢塾の指導にあたり、幾多の有能なヴァイオリニストを育てた。スミノフも第二ヴァイオリンを結成時点から努めたが、小沢のアドヴァイスで指揮術を学んでデビュを果たした。

久しぶりで生で聴くジュピターは心に浸みこんだ。ちなみにジュピターが生みだされた日は、私の誕生日であり(勿論年は違う)この奇妙な偶然に満足している。

小沢さんは、体調が悪く聴衆席に来て、頭を下げて軽く拍手に応えた。心から回復を待っています。


シュトゥット・ガルト・フィルハーモニー管弦樂団&合唱団演奏会

サントリーホール1988.12.6

ベートーヴェン
指揮:ウオルフ=ディータ―・ハウシルト

ソプラノ:ロジーナ・バッハー

アルト:カタリーナ・アッカーマン

テノール:フォルカー・ホルン

バス:ヴァルデマール・ヴィルト

演題:

ベートーヴェン:カンタータ「静かな海と楽しい航海」OP.112

          交響曲第9番OP.125「合唱付き」

第9交響曲を年末行事としているのは日本だけだ。第9の構想は55歳の最晩年であり、残された時間はあと8カ月たらずだった。彼のハイリゲンシュタットの遺言で解るように、痛ましく苦悩に満ちていたが、その生活の中に散りばめられた幸福な瞬間の美しく無垢なこと!
「苦悩をつきぬけた人間だけが真の喜びを得る」という交響樂は、音楽の領域を超えて私に迫ってくる。



ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

サントリーホール1991.3.9

(ザルツブルグ・モーツァルト音楽祭)

ミンツ
指揮:アンドレ・プレヴィン

ヴィオリン:シュロモ・ミンツ

作曲:モーツァルト

演題
交響曲38番「プラハ」ニ長調K.504

ヴィオリン協奏曲第5番「トルコ風」イ長調K.219

交響曲第39番変ホ長調K.543

交響曲38番「プラハ」は、だい2楽章がいい。深く繊細な抒情的表現は感動的で気高い精神美を、豊かに醸し出している。思わず口ずさみたくなる。私はスィトナー指揮(ドレスデン)が好きだ。因みにプラハは、フィガロの結婚が成功をおさめた因縁の都市だ。

ヴィオリン第5番は、5曲のヴィオリン・コンチェルトのうちで、最高の作品である。最終章の東洋風の旋律から「トルコ風」と呼ばれている。後世の人の命名である。

交響曲39番は、三大交響曲の第1作であるが、モーツァルトはわずか1ヵ月半で、39,40,41番を作曲した。しかもその3曲がそれぞれ対照的な独自性をたもっている、まさに人間業とはおもわれない底知れない天分を痛感する。
39番の構成理念をアインシュタインは「死は人間の最良の友」といったモーツァルトの言葉になぞらえ、その深遠な内容の本質を論じた。またヤーンは「満ち足りた幸福感の表現」、パウムガルトは、、「3大交響曲のうち最も現世的な喜びにみちている」と評している。


2015年1月11日日曜日

「ケルン放送管弦樂団/ベルティーニ指揮」を回想する

サントリーホール1991.2.22


ベルチーニ
作曲家
グスタフ・マーラー

演題
交響曲第7番ホ短調「夜の歌」

この曲全体の調性が定めにくく、失敗作だという。初演はプラハで、2,3,4、楽章が夜ホルンではじまる夜の歌だといわれる。

ベルチーニにとってマーラーの作品はかってない人間的な音楽と認識され、それガ演奏に反映されて、耳を傾けるもののこころを動かすのである。
ベルティーニ演奏の根底にはユダヤ系である彼の血が、おなじユダヤ系のマーラーを理解し、知的理解を超えた生理的な広がりがあるようだ。

ザルツブルグ・モーツァルト音楽祭IN TOKYO

1911。3.8サントリーホール



指揮プレヴィン


演奏:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

指揮:アンドレ・プレヴィン




ミンツ

ヴィオリン:シュロモ・ミンツ

演題

交響曲第38番「プラハ」

ヴィオリン第5番「トルコ風」

交響曲第39番

本場のザルツブルグ音楽祭は夏の風物詩である。それを東京のサントリーホールに移行した形で3月に18公演行われた。時あたかもモーツァルト没後200年のモーツァルト・イヤーである。モーツァルトファンにとってこれほど嬉しい企画は無い。妻とザルツブルグを訪ねたのは1986年で5年前だ。
ザルツァハ川の流れに、街の三方を囲む山は、山上の古城から美しい姿をみせる。モーツァルトが歩いた石畳の道を歩むと、魔笛のパパパが聞こえる。

交響曲38番39番は、私が最もよく聞くシンホニ―でもある。


覚書

2015年1月10日土曜日

ベルリン国立歌劇「トリスタンとイゾルデ]にワーグナーの「愛の死」を想う


NHKホール     1990.11.1

    大江健三郎さんは、随筆「ワーグナーへの遠い旅」で、≪トリスタンとイゾルデ≫につき次のように記述されている。
<我々のような年齢になれば死については日々思うことがあるけれども、愛については遠い日を懐かしむようにして、というにすぎない。 

しかし生涯の終わり近くなり、神秘的なほどの力で、「愛と死」のイデェが深くからみあいつつ恢復してくる・・・。僕はゾクリとおののくような気持ちになる。>

大江さんの言葉は、僕の胸にも突き刺さるようだ。「トリスタンとイゾルデ」は、いま常に私を襲いつづ

けている。    


















































































































































    
   


2015年1月5日月曜日

アルバン・ベルグ弦楽四重奏団演奏会を回想する

アルバン・ベルグ弦楽四重奏団
サントリーホール1989.11.22

演奏:第1ヴィオリン ギュンター・ピヒラ―

第2ヴィオリン ゲルハルト・シュルツ

ヴィオラ トマス・カクシュカ

チェロ ヴァレンティン・エルペン

演題:
モーツァルト 弦楽四重奏曲第18番イ長調K.464

シュニトケ 弦楽四重奏曲第4番(日本初演)

ベートーヴェン 弦楽四重奏曲第15番イ短調OP.132

私は最も大好きなモーツァルトの弦楽五重奏曲第3番K.515,第4番K.516を,アルバンベルグ弦楽四重奏団の演奏(EMI)できくことが多い。烈しさと集中力、そして彼らの奏でるアレグロの美しさがたまらないからだ。ウィーン音楽大学の4人の若い教授の知性と技量の高いことは万人の認めるところで、世界超1級のカルテットと言える。生で聴くアルバンと、モーツァルト、ベートーヴェン、本邦初演のシュニトケと最上級の演奏会であった。

モーツァルトノ18番は、ハイドンに捧げし弦楽四重奏曲の第5番である。ベートーヴェンはこの曲を高く評価し、研究のため筆写している。
シュニトケの曲はウィーンコンチェルトハウスがシュニトケに委嘱した作品で、アルバンベルグ四重奏団がコンチェルトハウスに所属していることから、初演の権利を得ている。長く悲しい曲である。
ベートーヴェンの曲は、病気が一時快方に向かった時の作で、嬉々としてしかも高貴な主題を展開する。

エンシャント・ミュージック管弦楽団演奏会を回想する

サントリーホール1988.6.27

作曲:W.A.モーツァルト

ホグウッド
指揮:クリストファ・ホグウッド

演題

レドゥーテン・ザールのための6つの舞曲

ヴィオリン協奏曲第5番「トルコ風」K.219

戴冠ミサ ハ長調K.317

ホグウッドは、古楽器いわゆるオリジナル楽器を使い、弓や奏法もその音楽が使われた当時の物に従う演奏を行い、モーツァルトにおいても生き生きとした演奏によって、革命的な音楽を提良く示した。

<彼の言葉「例えば歴史的な名画に長年の間に付着した汚れを洗い流して、絵が描かれた時とおなじ光彩を取り戻すのとおなじ作業を、音楽でも行おうとしているのです。>は、ホグウッドの指揮者としての意図を良く現している。

戴冠ミサは、レオポルド2世の戴冠式を記念してザルツブルグの大聖堂で上演された。

モーツァルトのヴィオリン協奏曲は6曲あるが、K.219は、第3楽章のトルコ・リズムにたいして、命名されたものだ。






2015年1月4日日曜日

  1961.10.23  ウィーン国立オペラ劇場
 運命の力 
  <私と音楽の出合い…生涯最高のオペラ>
作曲ヴェルディ
配役・プログラム

出演者:

レオノ―ラ: アントニエッタ・ステラ

ドン・アルバーロ: ジェームス・マクラケン

ドン・カルロ: コスタス・パカリス

プレツィオシルラ: ビゼルカ・クヴェリック

我が生涯最良の記念日であった。 この日、私の頭上に、心に、ミューゼの神が宿ったからだ。

日本出発前に、当時日本モーツアルト協会会長だった属啓成さんの自宅にお邪魔し、「ウィーンに行くので、モーツアルトの足跡を辿りたいが如何すべきか」を尋ねた。ピアノが2台ならぶ部屋で、親切な応対を受け、お話を伺った。そしてウィーン滞在中の黒沢氏(ヴィオリニスト)を尋ねるようご指示を頂いた。

ウィーンに到着すると、すでに連絡が届いていて、黒沢さんには前夜から付き合っていただいた。音楽家の集まるバーで、翌日のオペラ「運命の力」の筋や聴きどころを教えてもらった。黒沢さんが何者であるかはまったく知らない(いまでも)が、酒の席上ヴァイオリンをとりだして弾きはじめヤンヤの喝さいを浴びた。優れた演奏であり、驚いた。
察するに、留学中のプロの演奏家だったのかもしれない。

レオノ―ラ:ステラ
さて、オペラ当日は、繰り返すが、我が生涯最良の日であった。何故なら音楽の奥深さの一端に触れたからである。爾来私は音の響き、輝き、感情の虜と化したと思っている。
(8日前に、歌劇「カルメン」を見ていた。しかしこんな感慨は起きなかったのに!)

ウィーンは、湿度が低い。そのためか多湿な日本と響きが違う。小さな音がホールの隅々まで伝わる。高音はあくまで高く、低音は上品に伝わる。この日は2階席で、舞台からはかなりの距離があったが、床にピン一つ落ちても聴き分ける事が出来るように感じた。

オペラのあらゆる場面が感動の対象となり、我を忘れたが、現在も鮮明に思いだせる場面と音楽の旋律がある・・・

開幕前、序曲が奏される。金管のホ音の強烈な響きは暗い運命を予感させ暗示する。つづく弦が奏でる不安げな旋律に息をのむ。そして幕があがる番。(私はこの序曲がオペラ序曲で一番好きだ。オペラ全幕の推移を如実に表現している)

終幕でレオノ―ラが恋人カルロの銃弾に倒れ、息絶え絶えの時、最後の力を振り絞り「神よ、平和をあたえ給え」を唄う。まさに断末魔の声として声量が小さくなってゆくが、音声は澄みわたり、私の心に入ってくる。唖然として聴く。素晴らしい!
天からの啓示が私の身に降りた・・・<音楽は人生最高の啓示たり得ると>


愛聴盤 運命の力
 LONDON SLX4-2(LP)プラデルデイ指揮 ローマ聖チェチリア管弦楽団
レオノ―ラ:デヴァルディ
アルヴァーロ:マリオ・デル・モナコ























アルバンベルグ四重奏団公演会を回想する

サントリーホール1991.11.10

出演

アルバンベルグ
第一ヴィオリン:ギュンター・ピヒラ―

第二ヴィオリン:ゲルハルト・シュルツ

ヴィオラ:トマス・カクシュカ

チェロ:ヴァレンティン・エルベン

演題
モーツァルト:弦楽四重奏曲第14番K.387

ヤナーチェク:弦楽四重奏曲第2番「内緒の話」

ブラームス:弦楽四重奏曲第2番作品51-2


室内楽のデスコグラフィから、アルバンベルグ四重奏団演奏分を除いたら、何が残るだろう。現在この四重奏団なしに室内楽は語れない。
結成されて20年を経た。そして1980年代からりりースされる。

彼らの演奏を聴き、息を継がさぬ鋭さに、まず驚いた思いがある。以来アルバンのファンとなっている。さりながら、生演奏を聴ける機会は少ない。最終で4人が揃って弦を振り上げる仕草には、快哉と叫びたい。

モーツァルト第14あ番はハイドンに捧げし弦楽四重奏曲の冒頭である。第1楽章が美しい。
「内緒の話」は、内容はラブレターの話であり、音楽の展開につれ、心の動きも解り易く、好きな曲である。日本の童謡にもおなじ唄がありますネ。

ブラームスの2番は、優しく温かい曲だ。ブラームスという作曲家は聴けば聴くほど味が出てくる作曲家だと思う。

アバド指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦樂団演奏会 

サントリーホール10周年記念
1996.10.20
演題

マーラー:交響曲第2番ハ短調「復活」

管弦楽:ベルリンフィルハーモニー管弦樂団

指揮
クラウディオ・アバド

出演

ソプラノ:シルヴィア・マクネアー

メゾ・ソプラノ:マリアンナ・タラ―ソワ

テノール:ウ―ヴェ・ハイルマン

バス=バリトン:アイケ・ヴィルム・シュルテ

合唱スウェーデン放送合唱団/エリック・エリクソン室内合唱団


「復活」を初めて聞いたのは、ウィーンフィル・ワルター指揮・ワルター協会から提供されたLP盤だった。ワルターは、マーラーの親友であり、最高の理解者であった。ワルターの指揮は、躍動感にあふれ、聴いてこの曲が好きになった。バーンスタイン指揮に比べ古典的な演奏だが、抵抗なく親しめる曲だ。


内田光子を聴く

すべてサントリーホール:

演奏:テイト指揮イギリス室内管弦楽団)

手元に残っている記録
  • 1986.11.11  ピアノ協奏曲6番・ 8番・9番
  • 1987.02.25  ピアノ協奏曲13番・交響曲36番・ピアノ協奏曲23番
  • 1987.03.04  ピアノ協奏曲14番・26番・交響曲40番
  • 1987.03.06  ピアノ協奏曲5番・27番・交響曲41番  (以上は全部モーツアルト
  • 1991.05.12~17 モーツアルト:ピアノソナタK.475,K.457,K511,K.397,K.4                       55,K.545,K.576,K.540,
  • 2001.12.11  シェーンベルグ:三ッのピアノ曲OP.11
  •  シューベルト:ピアノソナタD894「幻想」
  •  ウェーベルン:ピアノのための変奏曲OP.27 
  •  ベートーヴェン:ピアノソナタOP.111
  •  
  • 2011.11.07  シューベルト:ピアノソナタ19番・20番・21番