2014年12月30日火曜日

小沢征爾・新日本フィルハーモニー交響楽団 特別演奏会サントリーホール

1988.9.9

ハイモヴィツ
指揮:小沢征爾

チェロ:マット・ハイモヴィッ

メゾソプラノ:伊藤直子

演題   
 ベートーヴェン:  交響曲第4番OP.60
チャイコフスキー:  ロココ風の主題による変奏曲作品33より

マーラー:  亡き子を偲ぶ歌(1905)

ベートーヴェンの第4番は、彼のに最も平穏な時期に生まれた。聞くたびに平易な清楚な曲だなと思うが、じつは音楽的には新基軸が隠されているのだそうだ。私は4番と8番が気楽に聴けるので好きだ。

チャイコフスキーの曲は、18世紀のロココ趣味への趣向よりも、ロシアのメランコリーが滲んでいる。
この時期、彼は結婚の破局からのショックから逃れるため、モスクワを留守にしたが、その間にフイッシャ―ハーゲンが全面的に改変し上演、大成功をおさめてしまった。今日演奏されるのはその改訂版である。チャイコフスキーは、あれは自分の曲ではないと言っている。

マーラーにとって、死は常に重要なテーマで、「生と死、別れと祈り」がこの曲で見事に謳い上げられている。「大地の歌」と双壁をなす名曲だ。

チェロのハイモヴィツは、ヨーヨー・マに師事し28歳ながら、有名オケと共演し,神童といわれる。今回が初来日である。




ケルン放送交響楽団マーラー交響曲第8番

サントリーホール     1991.11.12

演題:交響曲第8番「千人の交響曲」変ホ長調

指揮:ガリー・ベルティーニ

合唱:ケルン放送合唱団、プラハ・フイルハーモニー合唱団、東京少年少女合唱隊

出演:ユリア・ヴァラディ
    マリアンネ・へガンダ―
    マリア・べヌーティ
    フローレンス・クイヴァー
    アン・ハウルズ
    ポール・フライ
    アラン・タイトス
    ジ―クフリード・フォゲル

指揮者ベルティーニはソヴィエト生まれで、イスラエル、エルサレムフィル等を歴任し、いまやヨーロッパ指揮界の中核となった。特にマーラー指揮で定評があり、第1人者であろう。
ケルン放送交響楽団は1983,1988と2度来日し、今回は3度目である。
1000人の交響曲は、初演で1029人が出演したことで名ずけられたもので、マーラーの命名ではない。
ユリア・ヴァラディやジークフリード・フォゲルなど、おなじみの名歌手による名演であった。

メトロポリタン歌劇場オペラ<ホフマン物語>

歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 小沢征爾音楽塾オペラプロジェクトⅢ 2002.5.15東京文化会館

キ―チェン:ドン・ジョヴァンニ役


指揮:小沢征爾

配役:

ドン・ジョバンニ/マリゥス・キ―チェン

騎士長/セルゲイ・コプチャク

ドンナ・アンナ/ソンドラ・ラドヴァノフスキー

レポレッロ/シモーネ・アルぺルギ―ニ

ツェルリ―ナ/ハイディ・グラント・マーフィ

昨年の「コシファン・トッテ」につずき今年の「ドン・ジョバンニ」を見た。ドン・ジョヴァンニ役のキ―チェンは、若いポーランド人のバリトン歌手で昨年のコシファン・トッテでもグリエル役であった。メトロポリタンオペラ出で世界のオペラ劇場で活躍する旬の歌手である。その他の出演者も世界で活躍中のいはばそうそうたる配役である。
ドン・ジョバンニは2065人もの女性を征服したという、稀代の色事師だ。この喜劇のなかに、人間の真実と激しさ、光と影が交錯する。
カラヤンはこのオペラを特別扱いして晩年まで振らなかったと聞いた(晩年に指揮し名盤を残した)

小沢も特別の思いで指揮したに相違ないと思う。
数多いアリアを楽しむ、レポレロの唄う「恋人のカタログ」、ツェルリ―ナの唄う「ぶってよ、マゼット」
騎士長の石像の地に響くバス、いずれも素晴らしいものだった。小沢音楽塾のオケも合唱団も好評であった。