2016年2月15日月曜日

ザルツブルグ・モーツァルテウム管弦楽団を聴く

神奈川芸術祭参加  1988.11.25   茅ヶ崎市民文化会館

指揮:ハンス・グラーフ                   

演奏者;ジャン・ピエール・ランバル(フルート)

演題:
モーツァルト/交響曲第40番K。550
       /フルート協奏曲第2番K。314
       /交響曲第41番「ジュピター」K。511

小林秀雄の名著「モーツァルト」の有名な冒頭の一節は、<「もう20年も昔のことを、どういう風に
想いだしたらいいかわからないが、僕の乱脈な放浪時代のある冬の夜、大阪の道頓堀をうろついていた時、突然このト短調シンフォニの有名なテーマ―が頭の中で鳴ったのである。脳味噌に手術を受けたように驚き、感動で震えた。百貨店に飛び込みレコードを聴いたがもはや感動は還ってこなかった。>第40番のアレグロ部分についての記述である。

モーツァルトは第41番の「ジュピター」、第39番とともに、3大交響曲を、わずか6ヶ月で作曲したが
その真ん中に位置する40番交響曲は、哀しみに彩られた多様の響きの中にも、ロマンで美しい情緒の起伏が聴く人の心を捉える。

ジュピターは、輝かしく壮麗で力強く、情緒的な40番と対照的である。

指揮者のグラーフは、1979年カール・べーム指揮者コンクールで優勝、現在39歳で、4年前から当楽団の首席指揮者を務め、今後にも期待が持てる人だ。

またランバルはフルートの巨匠として、国立オペラ座首席奏者となり、現在は独奏者に専念している。

モーツァルトを聴く、最上の音楽会で、こんな機会は今後そう無いと感じた。