バイエルン国立歌劇場 歌劇「コシ・ファン・トゥッテ」 東京文化会館 1988.12.7
作曲:アマデゥス・モーツァルト
演目:コシ・ファン・トゥッテ全2幕
出演:フィオルディリージ ユリア・ヴァラディ
ドラべラ トゥルデリ―ゼ・シュミット
デスピーナ ジュ―リ―・カウフマン
指揮:ウオルフガング・サヴァリッシュ
演奏:バイエルン国立管弦楽団
合唱:バイエルン国立歌劇場合唱団
ベートーヴェンをしてあまりにも軽薄すぎると言わしめた、ふざけた筋書きだが、男女6人の愛の綾が最後は喜びと涙で終わる。
モーツアルトのオペラにはヴェルディやプッチーニにないふざけた唄が多い。かりにこれをモーツアルトのロマン主義と呼ぼう。
ドン・ジョバンニの「奥さん、これが恋人のカタログ」、フィガロの「もう飛ぶまいぞこの蝶々」、魔笛の「可愛い娘か女房がいれば」等々枚挙に暇なしである。モーツァルトの音楽が広く現代に愛好されているのは、このロマン主義にもよるのではなかろうか。
サヴァリシュの指揮は詩的な抒情性にあふれて、美的な指揮棒の動きに魅了される。また、1964年NHKO.を指揮し、いらい定期演奏会の常連指揮者となったが82年からバイエルンの総監督となり、堅実な旋律、繊細な音でファンを魅了した。彼の指揮、彼の指の動きの美しさは格別である。指先から音が流れる。(後記:2013.2.25死去)
ユリア・ヴァラディは、美しい。人も知るディスカウ夫人だが、知的なコントロールは流石である。
モーツアルトはこの時期妻コンスタンツェと葛藤があり、コシファン・トゥッテのバックグランドが整っていた。「女はみなこうしたもの」の自然発生要素がこの傑作を生んだ。