2015年1月13日火曜日

内田光子・ピアノリサイタル

 1991.5.10 サントリーホール

演題:W.A.モーツァルト

ソナタ第10番ハ長調K.330

ソナタ第8番イ短調K.310

ソナタ第12番ヘ長調k.332

幻想曲ニ短調K.397

ソナタ第17番ニ長調K.576

モーツァルト没後200年モーツァルトイヤーの本年、オール・モーツァルト・プログラムで、内田は東京で3回、大阪で2回の日本公演をした。私は東京で2晩、耳と心を傾けた。既にCDですべての曲を聴いているが、実演のもつ魅力にはかなわない。

ソナタ第10番は静謐に曲が流れる。内田の作品分析の緻密さが説得力となり心地よい。

ソナタ第8番は短調であるが1778年頃作られた。強い不協和音と不安な疾走にかられる。母の死、孤独、滞在中のパリの不理解が背景にある。

ソナタ第12番はメロディの種類が多く旋風のような流れとテーマの宝庫だ。そして消えゆく終末との対比に心が傾く。

幻想曲ニ短調はハ短調と共に我が愛聴曲だ。独特の力にあふれ、抵抗し難く美しく優しいアレグロに
涙する。

ソナタ第17番ハ内田光子が最も得意とする曲である。優しさとはほど遠い。ヘンデルのオラトリオ的対位法によると言う。