演題:
ハイドン:ピアノソナタ第37番ニ長調
シューベルト:ピアノソナタ第15番ハ長調「レリーク」D.840
前回のモーツァルト演奏からの2年ぶりの来日である。この2年間はヨーロッパ各地やアメリカカーネギーホールで聴衆を魅了しつずけた。今回は2あく度だけの公演で、しかもモーツァルトを弾かない。
しかし、ハイドンからシューベルト、さらにシューマンの流れは内田光子の取り組みの潮流に乗っている。
当夜も豊かな知性に支えられた内田の音楽を聴かせた。
内田の音楽は緊張感に満ちている。しかもその緊張は、聴く者をこばらせ、委縮させるものではなく、むしろのびのびと自由なしなやかさをもっているのだ。
ハイドンはピアノソナタを50数曲も書いた。モーツァルトはハイドンを崇拝し、ハイドンに捧げし弦楽四重奏曲の名作を残した。第37番にもハイドンの円熟した作曲技法が見られ、第2樂章は美しい。
シューベルトのレリークの意味は遺作という意味で死後発見され、美しい抒情をたたえ2楽章で未完だがシューベルトらしい名作として愛されている。
クライスレリアーナは後に妻となるクララへの想いを作曲したと語っていて、全体が8つの小品からなり、激しい情熱と瞑想的な世界が交互に現れる。演奏数が多い曲だ。