2015年1月13日火曜日

内田光子ピアノリサイタル

1993.10.05 サントリーホール

演題:

ハイドン:ピアノソナタ第37番ニ長調

シューベルト:ピアノソナタ第15番ハ長調「レリーク」D.840


シューマン:クライスレリアーナOP.16

前回のモーツァルト演奏からの2年ぶりの来日である。この2年間はヨーロッパ各地やアメリカカーネギーホールで聴衆を魅了しつずけた。今回は2あく度だけの公演で、しかもモーツァルトを弾かない。
しかし、ハイドンからシューベルト、さらにシューマンの流れは内田光子の取り組みの潮流に乗っている。

当夜も豊かな知性に支えられた内田の音楽を聴かせた。
内田の音楽は緊張感に満ちている。しかもその緊張は、聴く者をこばらせ、委縮させるものではなく、むしろのびのびと自由なしなやかさをもっているのだ。


ハイドンはピアノソナタを50数曲も書いた。モーツァルトはハイドンを崇拝し、ハイドンに捧げし弦楽四重奏曲の名作を残した。第37番にもハイドンの円熟した作曲技法が見られ、第2樂章は美しい。

シューベルトのレリークの意味は遺作という意味で死後発見され、美しい抒情をたたえ2楽章で未完だがシューベルトらしい名作として愛されている。

クライスレリアーナは後に妻となるクララへの想いを作曲したと語っていて、全体が8つの小品からなり、激しい情熱と瞑想的な世界が交互に現れる。演奏数が多い曲だ。