2013年12月16日月曜日

バイエルン国立管弦楽団演奏会      
クライバー
 1986.5.11  神奈川県民ホール

指揮:カルロス・クライバー

演題:ベートーヴェン:
              交響曲第四番
              交響曲第七番

 クライバーによってベートーヴェンは現代に甦る。ベートーヴェンの人間的な魅力が現代人を鼓舞する。
クライバーの指揮は健康な明るさと力強い器量の大きさで、音楽芸術をうたいあげる。クライバーの音楽の次元が違うのだ。クライバーの演奏は、情熱と自己主張に貫かれていて、音楽の本質に鋭く迫る。

幸い私は5回クライバーの実演を聞いた。CD・LPも多く、思い出に楽しくつながる。この日の7番は特に出来が良く、世に言う酔っ払いの交響曲が、心地よく、流暢に流れた。

蛇足だが、ロマン・ロランはいう。ベートーヴェンの4番は、「彼の全生涯の最も静穏な日々の薫りをとらえて漂わせている清らかな一つの花である」と。平穏な感情があふれている。

又、7番は酔っ払いの作品と言われているが、たしかに酔っぱらっているに相違ない、ただし自己の天才の実力に酔っているのである。彼は自分自身について言った<おれは人類のために精妙な葡萄酒を醸し出す酒神だ。精神の神々しい酔い心地を人々に与える者はこの俺だ>と。リストは、「この曲はリズムの神化だ」という。
私の学生時代には、ベートーヴェンでもっとも愛聴した曲が7番、4番であった。

4番、7番と共にC.クライバーは録音をしていて、84年録音の四番(バイエルン)、75年録音の七番(ウィーン・フィル)を、私は愛聴している。