指揮カルロス・クライバー
神奈川県民ホール 1988.9.30
作曲:ジャコモ・プッチーニ
指揮:カルロス・クライバー
演奏:ミラノ・ スカラ座管弦楽団
合唱:ミラノ・スカラ座合唱団
配役
ロドルフォ/ぺ―タ・ドヴォルスキー
ショナール/アントニオ・サルヴァド―リ
ブノワ、アルチンドロ/クラウディオ・ジョンビ
マルチェッロ/ジョナサン・サマーズ
コルリーネ/ジョルジオ・スルヤン
ムゼッタ/バーバラ・ダニエル
クライバー指揮のスカラ座、そして現代最高のミミ役フレーニ。これ以上の「ボェ―ム}はない。
ボェ―ムの初演は1896年トスカニーニが指揮をした。以来約90年間名オペラとして全世界で愛されてきた。
ロドルフォの(冷たい手を)、こたえて(私の名はミミ)、外はクリスマス・イブの賑わい。
胸の病が不治とわかり、別れを告げる(ミミの別れ)、そして哀しい最後の別れがくる。
プッチーニ・オペラの真髄にふれる。
吉田秀和さんの評(朝日新聞)を紹介する。
<まれに見る名演で、終生忘れがたいものになろう。フレーには天下一品のミミだった。更に記念碑的出来栄えのもととして、特筆すべきは、カルロス・クライバーの管弦楽の演奏。これはもう伴奏などというものではない。名歌手の揃った舞台にもう一人の稀代の歌手が加わったような音楽を聴かせた。それでいて少しも歌にかぶさったりして邪魔をしない。むしろパステル画のように精妙で、しかも微妙な色彩をふんだんに交えながら必要とあればルーベンスやルノワールにも劣らない極彩色で音の劇を描き出すこともじさないのである。>と最大級の賛辞であった。
吉田さんの賛辞がすべてを言い表している。付け加えるのは野暮なことだ。
しかし残念ながら、スカラ、クライバー、フレーニによる入神の音楽に別れを告げる時も、容赦なしであった。これぞオペラであった。