東京文化会館 2007.10.20
指揮: バレンボイム
作曲:シェーンベルク
出演:
モーゼ: ジークフリート・フォーゲル
アロン: トーマス・モーザ
合唱: ベルリン国立歌劇場合唱団
このオペラは、当日都合が悪くなったオペラ好きの知人からの贈り物として頂き、聴くことができた。
この日は、天高く澄み渡った秋晴れだった。上野公園に1時間前に着き、公園内を散策した。都公認の野外アーチストが沢山いる。1人で9つの楽器を演奏する人もいて楽しんだ。
さて、肝心の演奏会だが、久しぶりに見るバレンボイムは髪が真っ白になっていた。
時代は移りピアニストが指揮者になり、しかもいまや一流の指揮者なんだから・・と感慨を巡らす。
モーゼは、ジーグフリードだ。青年の様な発声をして、しかも若々しい。彼の「冬の旅」を1989年に聴いたが、若い声は不滅で威厳に満ちている。音量も同じだ。
作曲は当初は全3幕の予定でであったが、2幕で中断された。未完のままになっている。 台本は旧約聖書の「出エジプト記」で神に救いを求めるエジプト人を描き、エジプト王に迫害を受けている同朋のイスラエル人救出をめざす。背景にナチスによるユダヤ人迫害という政治的な状況があるようだ。
兄のモーゼと争うアロン。そのバック・コーラスが凄い。2年間練習したという。この合唱は、日本では聴けない部類の高い水準のものだった。モーゼが単独山に登り
神に教えを乞う。留守中のイスラエル人は黄金の牛を作り偶像とする。モーゼは下山する。兄アロンは口上手、モーゼは神に愛される。
物語の中核となっている「神についての論争」は良く理解できなかったが、モーゼがイスラエル民族に告げる預言「神と一つに結ばれん」でこのオペラはとじられる。これがオペラとして現存することに文化の違い感じ、この機会をあたえていただいた友に感謝した。旧約聖書を読んでみようかなと思った。