2011年10月4日火曜日

マウリツィオ・ポリーニ ピアノリサイタル東京文化会館1993.4.27
ポリーニ
演題
ベートーヴェン:
ソナタ第2番イ長調 OP.2-2
ソナタ第3番ハ長調 OP.2-3
ソナタ第24番嬰へ長調 OP.78
ソナタ3番ヘ短調 OP.57「情熱」


ポリーニは1960年、審査員であったルービンシュタインが(我々審査員の中で彼ほど上手く弾ける者がいるだろうか)という講評をもとに、ショパン・コンクールで優勝した。1974年初来日し今迄6回演奏し日本の聴衆を喜ばせた。
私はかってショパンのエチュードのレコードを聴き、強い衝撃を受けた事を思い出す。精密機械の様な音の刻み、そして母国イタリアの大理石の彫刻像のような彫りの深さ、冷たさが手に伝わる様でもあった。まったく驚いた。こんな風にも弾くピアノもあるんだなぁと。その後リリースされたプレリュードや、ベートーヴェン、シューベルトを夢中できいたものだった。彼の音は独特で、聴いた一瞬にポリーニだとわかる。ブレンデル、アシュケナージとは、温度差の様なものがある。おそらく1世紀に一人という才能であろう。
ソナタ「情熱」は、運命の動機が聞こえる第1楽章や華麗で劇的な終楽章がいい。「月光」、「悲愴」とともにもっとも親しまれているベートーヴェンの代表作である。