作曲:モーツァルト
ドン・ジョバンニ:トーマス・アレン |
管弦楽:ロイヤル・オペラハウス管弦楽団
合唱:ロイヤル・オペラ合唱団
配役:
レポレロ/クラウディオ・デズデり
ドンナ・アンナ/キャロル・ヴァネス
ドン・ジョヴァンニ/トーマス・アレン
騎士長/ロバート・ロイド
ドン・オッタビオ/ハンス・ペーター
シェルリーナ/マルタ・マルケ―ズ
マゼット/プリン・デルフェル
稀代のプレーボーイ・ドン・ジョバンニは、数々の悪行の末地獄の業火にのみ込まれる。この音楽の多彩さは、モーツァルトの天分無しでは生れぬ作品だ。
「これが恋人のカタログ」のユニークさ、「シャンパンの歌」、「ぶってよ、マゼット」のアリア、石造の騎士の歩み、等々このオペラの楽しみ方は尽きることが無い。このモーツァルトは、かなり難解な音ずくりをしていて、カラヤンは「ドン・ジョバンニ」の指揮を最後にまわした。因みにオペラ指揮ではカラヤンの代表作となった。
また、吉田秀和さんは、「フィガロ」よりも「ドン・ジョバンニ」がモーツァルトのオペラの最高作ではなかろうかと論じ、次のように書いている。
<なんと凄い音楽だろう!音楽の極めて高度な充実と、数あるこの天才のオペラの中でもとびきり上質な演劇的な深みを湛えた「ドン・ジョバンニ」をこれほど真正面から、これがもつ甘美と苦渋、死と愛が肌を合わせている音楽を鳴り響かせているのに成功したのは奇跡に近い。>と。
永年積み上げられた英国国立オペラの伝統の厚みが迫ってくる上演であった。