1984.10.22
指揮者:カラヤン
演題:ベトーヴェン
交響曲第6番 田園 OP.68
交響曲第5番 運命 OP.67
1978年に指揮者台から転落し、歩行が困難な舞台だった。最後になった日本公演を感慨無量で味わった。指揮者台の手摺りによりかかって指揮棒のみがかすかに動いた。
カラヤンについては、毀誉褒貶があろう。そして功績偉大である歴史的地位は揺るぎない。
カラヤンは、フルトヴェングラーの後任として
ベルリン・フィルの常任指揮者となったのは1955年,翌56年には終身芸術監督となり、ベルリンの王座に就いた。1954年単身来日しNHK交響楽団を指揮した。その時の演奏は伝統的な客観性のある指揮であったと言う。
以後カラヤンは、あらゆる名誉を独占し帝王として君臨したのである。彼は純粋な音楽家と企業者の素養に満ちていて、音楽家達の財政にも寄与した。
レパートリーの広さも格段で、音のふくよかな広がり,浮揚、こまかいヴィブラート、雄弁な弱音効果などで、聴く者を魅了したのである。私は個人的には彼の指揮の大衆迎合的な点がきらいで、あまり聴かない。
ただ例外的には、「ドン・ジョバンニ」、「カラヤン、新ヴィーン楽派管弦楽曲集」(ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団)がかけがいのない名演だと思う。