2015年1月1日木曜日

マタイ受難曲BWV244を回想する

ゲヴァントハウス管弦楽団    1990.12.5  オーチャードホール



作曲ヨハン・セヴァスティアン・バッハ
合唱聖トーマス教会合唱団
管弦楽ゲバントハウス管弦楽団
指揮:ハンス・ヨアヒム・ロッチュ

独唱
ソプラノ/レギーナ・ヴェルナ―
アルト/ローズマリー・ラング
テノール/ペーター・シュライヤ―
バス/テオ・アダム
バリトン/ゲオルグ・クリストフ・ピラー

聖トーマス合唱団の歴史は古い。1212年の修道院学校の設立に始まる。1723年からバッハがこの指導にあたった。毎週日曜日にはゲバントハウス管弦楽団員が参加しミサを共演する。ここにヨーロッパの文化伝統を感じる。

受難曲の構成
テノール歌手が担当する福音史家により、イエスの言葉はバス独唱により朗唱され、受難曲の骨格を形成してゆく。福音史家が簡単な通奏低音のみにより伴奏されるのに対し、イエスの言葉は弦楽合奏の美しい和音に彩られその対比は見事である。四声帯の簡単な合唱のコラールは教会の讃美歌で、受難の物語の進行のなかで、それぞれの場面に対する信徒の思いを吐露するかのごとく、感慨深く唄われるのである。


受難曲の全体は二部から構成され、第一部は壮大な二重合唱として開始される。キリストと人類の苦悩を象徴するオーケストラの音楽に乗って、「来たれ、汝ら娘達、我が嘆きをたすけよ。」「誰を」(その花婿を)と唄われる対話、その劇的効果は聴かなければ解らない。イエスは自ら十字架上の死を予言、ユダの裏切り、最後の晩餐、イエスの逮捕で第一部は終わる。


最後の合唱曲「涙と共にうずくまり、墓の中の貴方を呼ぶ」は、ぬかずくような身振りを伴った美しい葬送音楽として、「いこえ、やすらかに、やすらかにいこえ」と、感動的に受難曲をしめくくって終わる。
(樋口隆一氏マタイ受難曲参照)




ペーター・シュライアー;福音史家役



テオ・アダム;イエス役
愛聴盤
1.カール・リヒター指揮ミュンヘン・バッハ管弦楽団(ディスカウ)
2.クレンぺラ―指揮フィルハーモニー管弦楽団(ディスカウ、シュワルッコップ)
3.フェルトヴェングラ―指揮
ウィーン・フィル管弦楽団(ディスカウ)
私は、1.のリヒターが一番いい。






入場券