バイロイト音楽祭 日本公演 特別演奏会(Bプログラム)を聴く
1989.9.8 オーチャードホール
指揮:ジョゼッペ・シノーポリ
合唱指揮:ノルベルト・バラッチ
演奏:バイロイト祝祭管弦楽団
バイロイト祝祭合唱団
演題 作曲 R。ワーグナー
ジーグフリート牧歌
「さまよえるオランダ人」序曲
「パルジファル」第3幕(コンサート形式による全曲)
配役
パルジファル/ライナー・ゴールドベルグ
グルネマン(老騎士)/マンフレート・シェンク
アンフォルタス(城主の息子)/エッケハルト・ウラシハ
クンドリー(妖女9/ウタ・プリエフ
渋谷の文化村に、オペラ可能のクラシック音楽劇場ができ、そのこけら落としに「バイロイト音楽祭」の引っ越し公演が行われた。過去日生劇場の開場の際は、ベルリン・ドイツオペラの引っ越し公演であったことを想いだした、1963年のことですでに四半世紀昔だ
バイロイト音楽祭は、ワーグナー作品の専門劇場である。所縁の演奏者たちの演奏に聞き惚れた。ワーグナーの響きは特有な音響がする。
「ジーグフリード牧歌」の誕生秘話は面白い。ワーグナーは2度目の妻であり最愛のコジマ(リストの娘)とルッツエルンの湖畔で過ごし、前夫との離婚が成立し、さらに長男ジークフリードが誕生、
クリスマスの朝、15人の音楽家が奏でる美しい音楽で目覚めた。ワーグナーの指揮である。
後年編成を直して「ジークフリード牧歌」として公開した。自分だけのものにと、コジマは公開を嫌ったという。憧れに満ちたこの旋律は<ジーグフリードの動機」として親しみ深い。
「さまよえるオランダ人」序曲は、ハイネ原作の物語である。荒筋は小澤音楽塾の上演( 頁
を参照されたい。ワーグナー自身の体験もある音楽だ。
「パルジファル」は1882年完成したが、この年のバイロイト音楽祭で16回上演され大成功を収めた。聖杯をめぐる物語である。紆余曲折の末、妖女ケンドリー死し、聖杯はパルジファルの手に輝く。ワーグナーは同年9月心臓発作で69歳の生涯を終える。
執筆中の論文「人間性における女性的なものについて」は、<愛―悲劇性>の言葉を残して
終わっていた。ワーグナーならではの終焉であったのだ。